OPT-ELECTRONICSオプトロニクス技術

高精度・高品質な光学薄膜技術を多様な分野へ
バックミラーの鏡製造に用いる高精度・高品質な光学薄膜技術を発展させ、ガラスや樹脂に光学材料の多層膜をコーティングし、光の透過・反射・偏光などの機能を付与。自動車業界で培った量産技術と高水準のQCDを組み合わせ、お客様の多様なニーズにお応えします。

入射角度変化に対する特性変化の少ない膜

光学機器の光路設計において、最初から最後まで完全な平行光を使用することはほとんどなく、フィルターやミラーに光が入射する時は、中心と端部で入射角度θが異なる場合がほとんどです。 一般的に誘電体多層膜ミラーはθの値によってその光学特性が変わりますので、光の入射場所によって特性が変化してしまいます。
そこで当社では、θが変化した時の光学特性変化を少なくした多層膜を開発しました。これにより光の入射場所による特性変化を低減することが可能となります。

膜厚傾斜(ウェッジ)成膜

入射角度θが変化すると、光学特性が変化するのは先述の通りですが、もう一つの対策として、場所によって膜厚を変化させることにより特性を調整する方法が膜厚傾斜(ウェッジ)成膜です。一般的にダイクロイックミラー(フィルター)のT=50%波長(半値)は全膜厚に比例しますので、θ変化による半値変化を膜厚調整で補うという方法です。
当社では高度な治具設計技術により、精度の高い膜厚調整が可能です。

膜厚傾斜(ウェッジ)膜の調整例

LiDAR用広入射角対応高反射ミラー

自動運転車両のセンシング機器として注目されるLiDAR(Light Detection And Ranging)。
より広く、より遠くの障害物を検知するために、幅広い入射角範囲において高い反射率を有するミラーが不可欠となります。
当社では目的に合わせて2パターンご提案することができます。
  1. 性能重視:誘電体多層コート
  2. コスト重視:アルミ(Al)+誘電体コート

身近に広く活用されるオプトロニクス技術

映像機器

デジタルカメラや液晶プロジェクター、ハイビジョン放送対応TVカメラなど、映像機器の光学エンジンには多様な光学フィルターが使われています。量産品から一点ものの特殊機材用部品まで、柔軟に対応できます。

OA機器

業務用レーザープリンターやスキャナー、複写機など、OA機器にも光学フィルターやミラーが欠かせません。高い精度が求められるこれらの機器にも当社の薄膜が採用されています。

車載機器

フロントガラスにスピードメーターなどの運転者向け情報を映し出すヘッドアップディスプレイ。ダッシュボードに格納された投影ユニットに当社の薄膜製品が採用されています。

薄膜製品の製造工程

原料切断・成形からの一貫生産で、品質と効率を両立しています。

STEP01

基板加工

原料のガラス板から基板をつくります。
切断
NC制御によりガラス基板に傷を入れ(スクライブ)、製品サイズに切り分けます。
曲げ加工
ガラス基板を加熱して軟化させ、自重と吸引により型に沿わせて曲面を成形します。

STEP02

洗浄

基板表面を滑らかにし、超微細な異物まで除去します。
面取り
ガラス端面の面取りから研磨洗浄まで、一連の工程を自動処理で行っています。
超音波洗浄
超音波振動で基板表面の異物を除去します。

STEP03

成膜

基板表面に用途に応じた膜を成膜します。ナノメートルオーダーの高い精度で制御します。
バッチ蒸着
大型多層膜蒸着装置により数十層もの薄膜を真空下でコーティング。大ロット生産も可能です。
インライン蒸着
層数の少ない多層膜を連続して効率よくコーティングできる蒸着装置です。

薄膜製品の評価・分析

薄膜製品の品質を多様なファクターで評価します。

走査型電子顕微鏡(SEM)

微小に収束された電子ビームを試料に照射し、放出される2次電子等を検出して表面を観察する装置です。付属のEDSにより観察表面に存在する元素分布を得ることもできます。

X線電子分光分析装置(XPS)

試料にX線を照射することで発生する光電子のエネルギー分布を測定し、最表面に存在する元素の種類や結合状態を分布します。

レーザー干渉計

製品の面精度をレーザーで測定。そのデータから表面状態やゆがみのチェックを行います。

その他

  • 分光光度計
  • 蛍光X線分析装置
  • 各種光学顕微鏡
  • 恒温恒湿・冷熱衝撃・塩水噴射等各種試験機